ばら俳句

柏餅好んだ夫ヘ味噌あんの

庭の蕗ひとり皮むくバースデー

ロープウェイ窓に琵琶湖と山つづじ

若葉雨今日のしづくは泪いろ

春落葉我が身重なる庭掃除

　　　　　　　　　　５月

どくだみの花の十字に手が止まり

音走る一年ぶりの芝刈機

マイナンバー更新終え五月尽

よひら手に友晴れやかに医者帰り

つば出そう早桃さもも三つも頂いて

　　　　　　　　　　６月

野良猫の慌てふためく夕立や

整然とどしゃ降り雨のコンチキチン

真桑瓜井戸で冷やしてくれた祖母

缶ビール分け合えたのも５年前

玉の汗優勝力士夢の中

　　　　　　　　　　７月

送り火の煙消えゆく星の空

終戦日親の苦労をあらためて

目に浮かぶ赤子のお尻天花粉

ひたすらに泣いて笑って甲子園

天高くトンカチ響く新築中

　　　　　　　　　　８月

祈りの八月異国の戦なぜ

日が陰り傷んだ芝生あおむなり

涼風や負けて涙の選手へも

腸はらわたのはち切れそうな初秋刀魚

靴下を履いては脱いで秋はじめ

　　　　　　　　　　９月

風呂上がり老の身に入む秋の風

珈琲をホットに変えて秋深かむ

コスモスや優先席のバスの窓

秋時雨過ぎし季節を送るよに

家路へと子らの影踏み軽々と

　　　　　　　　　　１０月