去年(こぞ)君が 蒔きし寒肥真似て蒔く
君のため もう買う事無い冬物セール
寒スズメ 暇もて遊び餌付けして
冬ぬくし 幼なじみの声沁みて
立春も 独りを友に自粛中
窓越しに 覗いてくれる ちょっと春
たわいない メールに笑って 春を待つ
君植えし スミレほころび 胸熱く
咲き初め 紅梅ひと枝 仏前に
二度と来ぬ 君と眺むる 庭の梅
去年(こぞ)君が 蒔きし寒肥真似て蒔く
君のため もう買う事無い冬物セール
寒スズメ 暇もて遊び餌付けして
冬ぬくし 幼なじみの声沁みて
立春も 独りを友に自粛中
窓越しに 覗いてくれる ちょっと春
たわいない メールに笑って 春を待つ
君植えし スミレほころび 胸熱く
咲き初め 紅梅ひと枝 仏前に
二度と来ぬ 君と眺むる 庭の梅
嬉しくも 悲しくても 春爛漫
亡き夫を 想えば桜 なお淡く
はざくらの 緑輝き まぶし朝
春惑う 病院の予約 二年さき
春光に まどろむうちに 日が暮れて
4月15日
春の雪ふんわりかぶってなんじゃもんじゃ
集まりし帰る娘送る春の月
草むしり軍手に君の温もりか
母の日に届きし紅い花君と
貰い物青虫ついて春キャベツ
5月20日
ワクチンの帰り青梅地に転び
清白に咲いてどくだみ名の不思議
仏前でため息ひとつ梅雨の朝
新茶届きあの世とこの世一服し
友急ぎ永遠に眠りし万緑に
6月17日
梅雨に舞う舞妓のマスクいと愛し
沙羅の花落ちてもなお苔の上
悠久の空に舞い散る夏椿
背を丸め青芝刈る君幻か
7月15日
植木屋の汗にまみれて明日大暑
二度目なる東京五輪夏がゆく
勝者なる若武者汗を涙なし
迎え火や見えない君に手をあげて
五山の火君よ浄土へただ祈り
8月19日
庭出れば蚊との戦い負け戦
起きぬけの水ひんやりと秋涼し
筆談で皆によろしく逝った秋
一周忌君の墓石に秋の雨
いちぢくをうまそに食べた君はもう
9月16日