香り散る金木犀とバス停へ
こんがりと一匹だけの秋刀魚焼き
友よりて笑って帰る萩の暮れ
秋晴れの穏やかなれどなを寂し
煌々とこよい満月願いこめ
10月21日
冬物を引っ張り出すも秋うらら
長き夜を眠れぬままに白む朝
深む秋日々を重ねて照りもみじ
庭に咲く小菊供える朝ひとり
西山の紅葉夕焼け胸紅く
11月18日
我を見よ言わんばかりの大銀杏
寒空に耳に残りしお帰りと
師走とて身体動かず又あした
湯どうふの湯気にゆらり君映り
病院の聖なるツリーに祈りこめ
12月16日
香り散る金木犀とバス停へ
こんがりと一匹だけの秋刀魚焼き
友よりて笑って帰る萩の暮れ
秋晴れの穏やかなれどなを寂し
煌々とこよい満月願いこめ
10月21日
冬物を引っ張り出すも秋うらら
長き夜を眠れぬままに白む朝
深む秋日々を重ねて照りもみじ
庭に咲く小菊供える朝ひとり
西山の紅葉夕焼け胸紅く
11月18日
我を見よ言わんばかりの大銀杏
寒空に耳に残りしお帰りと
師走とて身体動かず又あした
湯どうふの湯気にゆらり君映り
病院の聖なるツリーに祈りこめ
12月16日
夕暮れに第九聴きつつ鍋に火を
冬至の湯皮むきかけの柚子浮かべ
君逝けど年の瀬刻む腕時計
息白くタスキ繋げる子らまぶし
ほっとする幼なじみの賀状手に
1月20日
万両に冬の陽ざしよ赤赤と
鬼は外心のモヤモヤ豆に乗せ
福豆八十路の数は無理となり
母(義母)荼毘にみそとせ(三十年)前の雪降る日
寒き夜に淋しさ友とスマホ手に
世の常か王者も敗れ冬五輪
努力咲き泣いて笑って氷上に
冬の陽にもみ殻まくら母想う
むなしくて見上げる夜空月冴えて
つい涙読みし新聞冬の陽が
猫の日に庭の片隅手を合わせ
冬すみれ少しの陽ざしに花開き
蕗の薹みつけし笑みの君想う
うす赤くぼけのつぼみに風光る
友手向け水仙かぐわし仏の間
寒空にトゥナイト懐かしシネマ観に
古びたり母から孫へお雛様
カチューシャの国戦かえり雪ちらついて
雪のなか戦のニュースなぜ悔し
こ(娘)や孫(孫娘)と離ればなれの雛のすし
3月 4日
しだれ梅おやこ(母娘)で参る念仏寺
渡月橋娘と君を偲ぶ春
山笑う君描き遺す愛宕山
母と娘(こ)が春をゆく君かぜになり
愛らしく梅咲き競う天神さん
君の部屋雨戸開けたの春だから
ゆすらうめ蕾にあめが冷たかろ
武器棄ててカチューシャの歌サー謳(うた)え
春彼岸花とお酒と手を合わし
君往きて二度めもさくら涙色
3月31日