花冷えに吾子の納骨終えし友
はかなくも緑芽生えて花吹雪
春の宵ひとり笑った後虚し
離れしも快方願う春日より
おぼろ月地球の戦忍び泣く
鳥居背に命燃やすかキリシマツツジ
4月27日
薫風に八十路迎えてあるがまま
カーネーション贈れるものなら亡き母に
青葉雨病室の友なに思う
風光る振り袖すがた孫まぶし
万緑に友の朗報はれ晴れと
みどり濃く患う兄の声薄く
芝を刈る電気バリカン君憶う
5月25日
花冷えに吾子の納骨終えし友
はかなくも緑芽生えて花吹雪
春の宵ひとり笑った後虚し
離れしも快方願う春日より
おぼろ月地球の戦忍び泣く
鳥居背に命燃やすかキリシマツツジ
4月27日
薫風に八十路迎えてあるがまま
カーネーション贈れるものなら亡き母に
青葉雨病室の友なに思う
風光る振り袖すがた孫まぶし
万緑に友の朗報はれ晴れと
みどり濃く患う兄の声薄く
芝を刈る電気バリカン君憶う
5月25日
友よりの新茶含みて若き日が
大空の涙こぼれて梅雨入りか
慈雨浴びて頭をたれる紫陽花よ
庭の草生き生きのびて梅雨うらむ
父の日に仏花はなやか娘の祈り
オータニが梅雨かっ飛ばすホームラン
6月23日
水無月は京で出合いし夏の味
草ひいてノンアルコール喉にしみ
七夕の星ものがたり夢うつつ
夏の曇あか旗掲げロシア兵
鱧おとしビールごくんと笑み残し
夏悲し銃口いのち若者も
7月19日
糠漬けのきゅうりポリポリ母恋し
友と分け小玉スイカの甘きこと
手を拭いて八月六日黙祷し
心込め長崎の鐘歌う夏
盆参り手合わす孫も大人びて
おぼろげに終戦の日は疎開地で
彼の世へと送り火こよい我ひとり
8月22日
瑠璃色の地球こわして夏もゆく
さるすべり猛暑なによと華やいで
秋の寺読経せつなく三回忌
名月に友の回復手を合わし
すだれ越し八十路の頬に今朝の秋
何となく敬老の日のわびしくて
9月27日