ばら俳句 作品集 5

2022年

窓越しの眉に似た月微笑んで


秋色に染まりし蔦よにからみ


身内逝く笑顔しのぶか秋雨も


空すみてバッタに遊ばれ草を引く


帰りみち秋の訪れあしばやに


うらましやひたすら前を赤とんぼ


金木犀いつのまにやらこう放ち


          10月18日

                                                        

大銀杏はなか葉っぱか金色こんじき


お月さんお色直しで赤胴色しゃくどいろ


紅葉散るバンカーに球すいこまれ


ランナーの汗と紅葉かがやいて


ガラスごし秋の夕映えうつりゆく


          11月22日

                                                   

ゆく秋の夕暮れあわて灯りつけ


君植えし黄色の小菊君に供花くげ


散りもみじ踏みしめこ(娘)らの幼き日


南天の赤い実お辞儀庭そうじ


武器いらぬサッカーボールを祈る秋


クローゼット君のコートに触れてみる


          12月19日

                                                               

2023年

みな帰る黒豆ひとつ椅子のした


寒のあめ友の訃報に日がくれて


雪が降るふと口ずさむ旧き歌


寒き日の苦しコーヒー医者帰り


庭掃除おじぎしている実南天


          1月


ふんわりと椿の蕾ゆきに耐え


春を背に若き雑草ひっこぬき


道ばたに落ちてなを笑み八重椿


          2月


春の宵一球一打に祈りこめ


二刀流この目で又と春の夢


櫻咲き野球小僧の夢かなう


さくら散る悲喜こもごもに風にのり


          3月

   

2023年

薫風に命授かり八十路すぎ


七重八重微笑みひらく白牡丹


さみどり(早緑)やこぼれ落ちそな遊歩道


青春のページめくりに初夏の旅


今度いつ老の兄妹新緑に


元気でね幼馴染みと春惜しむ


名残惜し友と手にぎり初夏の駅


          5月


初夏の夕老いて故郷神楽坂


紫陽花を君往ぬ広きテーブルに


つゆ草の朝陽にしずく瑠璃色に


十薬の白き小花の強さ知る


いつもより線香匂う梅雨の朝


病みし友エールよとどけ梅雨の月


          7月

                 
Copyright(c) 2022 RoseHaiku All Rights Reserved. Design by http://f-tpl.com